世界文化遺産【富岡製糸場と絹産業遺産群】

世界文化遺産【富岡製糸場と絹産業遺産群】

2019.07.02
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先日お隣県の群馬県に配達がありましたので、群馬県にある世界文化遺産をついでに見学してきましたので、ご報告させて頂きたいと思います。

目次

富岡製糸場と絹産業遺産群とは

皆様ご存知の通り群馬県にある世界文化遺産といえば「富岡製糸場」になりますが、その後新たに世界文化遺産として認定されたものが実はあるのです。

  1. ① 富岡製糸場
  2. ② 田島弥平旧宅
  3. ③ 高山社跡
  4. ④ 荒船風穴

上記の4つが現在世界文化遺産として認定されています。何故??富岡製糸場が世界文化遺産として認定された後に、さらに群馬県内に世界文化遺産が追加されたのでしょうか??その理由をこの度行ってきました「高山社跡」の管理人さんに尋ねてみました。理由は「富岡製糸場だけでは【生糸】を作り出すことができない。後に世界文化遺産として認定される【田島弥平旧宅】【高山社跡】【荒船風穴】が関わることで富岡製糸場は成り立っているということが認められ、後の3つが絹産業遺産群として世界文化遺産に認定されたのです。」とのことでした。

●参考文献

「富岡製紙場と絹産業遺産群」は富岡製紙場・田島弥平旧宅・高山社跡・荒船風穴の4資産から構成されています。生糸の品質向上と増産を可能とした富岡製糸場、通風を重視した養蚕法「清涼育」を大成し、飼育試験を行った田島家、繭の品質向上と養蚕指導を行った高山社、蚕種貯蔵技術を活かし養蚕の多回数化を支えた荒船風穴です。それぞれが技術革新行い、相互に連携して絹産業の発展と絹の大衆化をもたらしました。

引用元:高山社跡パンフレットより

高山社跡

高山社跡にある長門です。とても大きくて立派な門です。高山社ができる前は元々武家屋敷だったそうです。そこに住んでいた高山長五郎氏(高山社:初代社長)がこの武家屋敷を蚕を飼うために改良したそうです。現在この長門は宮大工により修復作業が完了し、当時の姿を再現できています。なんと修復作業に3年もかかったそうです。

長門の門から見える景色です。まるでそのまま風景を切り取って巨大な額縁の中に閉じ込めたような感覚になります。ずっと見ていられるような美しい風景です。山から吹いてくる心地よい風が門を通って高山社の庭に入ってきます。

●参考文献

高山社跡は、高山社の創始者・高山長五郎が養蚕法の改良を行った高山社発祥の地です。ここで確立された養蚕法「清温育」は大変優れており、良質な繭の安定供給を可能としました。清温育を学ぼうと高山社には多くの生徒が集まり、さらに、高山社で学んだ優秀な人物は全国へ指導員として派遣され、清温育は全国標準の飼育法と言われるようになりました。藤岡町に本社を移した後は、「高山分教場」として機能しました。

高山社跡パンフレットより

高山社跡内部

こちらが高山社が高山社跡になる前の当時の状態を絵にしたものです。現在では長門・高山社・便所・風呂場が残っており、後は跡地となっております。中心に描かれているのが高山社です。

こちらが先程の地図の中心に描かれた高山社です。武家屋敷だけあっただけにとても大きな家です。家の屋根の上に3つ小さな家みたいなのがあります。あれが蚕を飼っていた家の証みたいなもので、群馬県内を走ってみるとその名残がある家を見かけます。実はあの小さな家みたいなものは、通気口の役割をしています。このお屋敷は室内で蚕を飼う為に様々な工夫がされています。

お屋敷の床下は高く作られ底上げされていて屋敷内の床板は隙間だらけです。こうする事で窓から入ってくる横の風と床から吹き上げてくる縦の風でさらに室内の通気性をよくしています。お屋敷内の1階には囲炉裏があり、そこで火を焚く事で気流で空気が上空に上がり2階にも風を送れます。簡単にいうと人工的に室内に上昇気流を作るということ仕組みですね。

そして2階へと上昇した気流は、先程お話しした天井にある通気口から抜けていく仕組みになっています。常に安定した温度と湿度が保つことができる、とても工夫された空調システムがこのお屋敷には備わっているのです。後は窓などの開け閉めを日々微調整し、快適な環境をキープすることで安定した蚕の飼育が行えるという仕組みになっています。

高山社内部は2階建になっており、2階に登る階段も当時のままの階段でとても急な階段になっています。階段の横は物が入れられるようになっていて昔の人の知恵を感じます。

高山社内部には、現在の姿の高山社跡全体を模型で作った物が展示されています。上記の当時の地図と見比べていただくと分かる通り現在は無くなってしまっている所もあります。管理人さんの話によると世界文化遺産として修復作業が認められているものは、あくまである程度原型をとどめているものだけが許されており、現時点で無くなってしまっているものは修復や復刻はNGだそうです。

●肝心な高山社が行っていた蚕の飼育場所は?

実際に2階に登ると蚕を飼育していた場所を見る事ができ、1階では蚕の繭(生糸)の質などを確認できる展示物などが置いてあります。肝心な部分なのでお見せしたい所ではありますが、ブログで全てを知って満足してしまうより、実際に足を運んで見て感じて頂けたらと思いますので、ここでは秘密にさせて頂きます。高山社内の広い部屋をゆっくりと歩きながら、部屋から見える庭の景色や、清温育を行っていた場所を見れば、当時の高山長五郎氏がいつも見ていた世界を自分自身が体感できる気分になれます。ぜひ一度足を運んでみてください。

今後高山社は長門の修復作業を終え、メインの高山社の修復作業に入りますと管理人さんから教えて頂きましたので、どの程度新しくなってしまうのか?見当がつきませんが、現在の高山社を見ておきたい方はお早めに見学に行かれることをオススメします。

●参考文献

高山長五郎は文政13年(1830)に藤岡市高山に生まれました。高山村の名主であった長五郎は、村の経済利益を上げるために、現金収入が期待できる養蚕に着目しました。そして様々な研究を行い、試行錯誤の中から養蚕法「清温育」を確立しました。また、養蚕教育期間高山社を設立し、全国各地から集まる生徒に格安で分け隔てなく技術を教えました。藤岡の諏訪神社境内には、明治24年に高山社社員などの寄付によって功徳碑が建てられています。

高山長五郎の「清温育」は、蚕の飼育が「天の虫」と言われるほど当たり外れの大きかった時代に、収繭量の安定と品質の向上を格段に進歩させました。この養蚕法は温度、湿度、空気の流通などを調整し、細かい部分まで飼育管理を徹底する指導法でした。

高山社跡パンフレットより

その他の見所

こちらは、高山社にある当時の【便所】です。今で言うお手洗いです。蚕を飼育するには、徹底した湿度管理が必要なため、湿気の原因になるような水分がある便所やお風呂場は別の場所に建っています。こんな瓦屋根の立派な便所はなかなかお目にかかれません。

便所は中を見る事ができます。当時は水洗ではなかったので、こんな風に木製で全てが作られています。今の和式の便器に何となく似ています。現在は使用禁止となっておりますので、絶対にここで用を足さないようにしてください。高山社跡前(道路を挟んで向かい側)に使用できるお手洗いがありますので、お待ちがいないように!

続いては焚屋です。現在で言うお風呂場です。こちらも養蚕場内の湿度が上がらないように外に建ててあります。これまた立派な瓦屋根付きのお風呂です。家庭用露天風呂みたいですね。

お風呂場の右側は、薪風呂を温めるための薪を燃やす場所と薪を蓄えておく広いスペースがあります。かなりの量の薪が入りそうだなと感じました。

こちらがお風呂場です。外から見ると大きな建物なので、「結構広いお風呂場なんだな」と思ってたのですが、中に入ると2/3は薪を蓄えておくスペースでお風呂場は狭かったです。

こちらがお風呂で使用されていた風呂釜です。現在で言うとバスタブと言うやつです。見た感じかなりのサビが確認できたのでどうやら鉄製の風呂釜のようです。熱の伝導率はとても良さそうですが、「足の裏と出るときに風呂釜の縁を触って火傷しそうだな」と感じました。

●参考文献

【町田菊次郎と高山社蚕業学校】

高山社2代目社長である町田菊次郎は、藤岡町(当時)に蚕業学校を開校し初代校長を務めました。当時、日本で唯一の甲種蚕業学校であった高山社蚕業学校には、日本国内のみならず朝鮮や清国からも指導を求めて生徒が集まりました。実習だけでなく学理も学んでいました。卒業生は19794人にも及びます。

【文教場・授業員派遣】

高山社で学びたいという学生が増えたため、多くの学生を指導するために優秀な社員の家を「文教場」として開き、清温育を教えるようになりました。文教場は全国各地に設置され116カ所にも及びました。

高山社跡パンフレットより

まとめ

長文となりましたが、最後までご覧くださいましてありがとうございます。お仏壇とは、寺院を小さくしたもので(今でいうとミニチュア)、各家庭の部屋に小さくした寺院を置きましょう!という事から全国的に広まり、それが長年受け継がれ今現在も各家庭に置かれています。なので寺院をそのままミニチュア化しているので当時の作り方(伝統技法)が今も残っております。今回見学に行った世界文化遺産である高山社跡の長門などにも古くから建築物を作るのに用いられた伝統技法が使われ、お仏壇と通じるものを感じました。

今現代の新しく生み出される最新技術も、伝統技法の知識があるからこそ生み出されるものではないでしょうか。そしてその最先端技術もこの先ずっと人々に受け継がれていけば、いつかは同じ伝統技法と呼ばれるようになります。

これからも私たちのみんなの手で残していきたいですね。

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